3人だけど、3人だからこそ。めくるめく3ピースバンドの魅力
ニルヴァーナ、クラムボン、ベン・フォールズ・ファイブ、10-FEET。
これらのバンドに共通するのは?そう、3ピースバンドです。
もくじ
3ピースバンドの魅力
ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、あるいはそこにキーボード。
4人もしくは5人でバンドをされるのが、一般的には多いと思いますし、ならではの楽しさ・強みはもちろんあります。
これからバンドを始めようという方は、どういう編成で組めばいいのか、検討中の方もおられると思います。
また、4人編成だけど近々ギターパートのメンバーが抜ける、別のギタリストを入れるかもしくはギターボーカルで3人でいくか悩んでいる方も、中にはおられるかも知れません。
そこで本日は、3ピースバンドならではのサウンドや良さについて、私の長年の3ピースバンド経験を踏まえ、お伝え出来ればと思います。
3要素を構築できる最小構成
「音楽の3要素」と呼ばれるものがあります。
- メロディ
- ハーモニー
- リズム
この3要素が揃えば音楽として成立すると、一般的にはされています。
もちろん、歌だけ、やドラムだけ、という音楽もありますが、我々が日常生活で耳にするBGMなどは、やはりこの3要素が揃っているものがほとんどでしょう。
そして、この3要素を無理なくこなせる最小限のバンド構成が、3ピースだと思います。
ドラム、ベース、ギター&ヴォーカル。
もしくはドラム、ベース、ピアノ&ヴォーカル。
ヴォーカルのいないインストでも、トリオ構成のバンドは沢山ありますよね。(大橋トリオさんは、トリオと付いていますがソロアーティストです笑)
3ピースバンドを経験されたことのない方は、「サウンドが薄いんじゃないの?」「人数少ないからライブの集客大変では?」「スタジオ代も割高…。」そう思われるかも知れません。
それは、残念ながらその通りです。
しかし、3ピースバンドにはそれを織り込んだ上で尚価値のある、以下のような魅力があります。
ソリッドなサウンド
「音の薄さ」は、「音の少なさ」でもあります。
例えばオーケストラの演奏は、沢山の音が含まれていて迫力がありますが、人間の耳として全ての音を把握することはおよそ不可能でしょう。
3ピースでの演奏は情報量としては少ないですが、その分どのメンバーがどういう音を出しているかはっきり伝わり、ミドルレンジがヴォーカルとギター(あるいはピアノ)なので、バンド全体としてもサウンドをすっきりくっきり伝えることができます。
シンプルなアンサンブル
楽器構成が少ないので、アレンジがしやすいのも3ピースならでは。
あれこれ試すにも、「どっちが何を担当する」「もう一人のギターがアルペジオで弾くから、僕はオブリガードを入れようかな?」そういったことで悩むことがあまりありません。
曲を作った際に譜面を渡す必要のあるメンバーが少ないのも、ソングライターとしてはぷち楽です(笑)。
コミュニケーションの取りやすさ:演奏中
音でコミュニケーションを取ることももちろんですが、次の構成に進む際やソロパートを終える時・最後合わせて曲を終える時など、演奏中にアイコンタクトを取る瞬間も多いですよね。
3人だとそのコミュニケーションがとても取りやすいです。
たまに演奏に没頭し過ぎて気付いてもらえないこともありますが…。
コミュニケーションの取りやすさ:演奏以外
「曲をどういうアレンジで演奏するか」「ライブのセットリストはどうするか」「次はいつどこでライブをするか」そういった点で違う意見がぶつかることも、バンドではよくある話です。
3ピースでいいのは、意見が半々にはならないところ。
必ず多数派が決まるので、とても民主的な運用が可能です。
ライブでの立ち位置のバランス
これは主に4人バンドに対してですが、4人だと大体、中央奥に構えるドラムの前にヴォーカルが立つことになります。
従って、客席からはドラムさんは被って見えにくいことも多々あります。
3ピースは中央ドラム、上手もしくは下手にギター、その逆にベースという場合がほとんどだと思いますので、見る側からは均等に見ることができます。
スケジュールの合わせやすさ
メンバーが多いと、とかく大変なのがスケジュール調整。
リハーサルやライブで、仕事や学校の休み・空き時間を合わせなければいけませんが、3人だとそれも楽ちん。
いい意味意地っぱり
バンドマンの方で「いい音を出したい」と思わない人はいないでしょう。
3ピースバンドは、人数も少ない・音も薄い、だけども「4人編成のバンドにも負けない音を出してやるぞ」そんな思いが強いように思います。
いい意味でギラつける編成ではないでしょうか。
というわけで
3ピースバンドの魅力、少しでも伝わりましたでしょうか。
私はかれこれ15年程3ピースバンドばかりやっていますが、その前はオーソドックスな4人編成のバンドをしていました。
3人で初めてやることになった時は、やはり不安でしたが、やってみるとその魅力にハマり、かれこれ15年。
プレイヤーとしてもソングライターとしても、いい経験をしたと思えることは多々ありました。
刺激的でシンプルな3ピースバンドの世界、いつかどこかで体験してみるのもいかがでしょうか。
ライタープロフィール
ライブスポットラグ
平田 浩康
Live Spot RAGの平田浩康です。
15歳の時、音楽特にロックのカッコ良さに痺れギターとバンドを始めました。
生まれ故郷の高知県は、ライブハウスやコンサート会場も少なく生の音楽に触れる機会が少ない、当時は情報源も雑誌やCD、VHSビデオ(!?)という時代でしたが、音楽というとてもキラキラしたものに魅了され、勉強そっちのけでギターと音楽を楽しむ毎日でした。
大学進学から京都に移住し、大学では軽音楽部を卒業(笑)。
それまでは邦楽ロックや洋楽ハードロックを中心に聴いていましたが、先輩や同期から世の中にはもっとたくさんの音楽があることを知らされ、今では「いいな」と思えるものはジャンル隔てなく聴いております。
大学卒業後にRAGに入社、約6年のオフィスや約10年の音楽スタジオを経て、現在は創業39年の老舗Live Spot RAGにて勤務、主にプロモーション業務を担当しております。
日本トップミュージシャン達が奏でる「本物の音楽」に触れ、お客様に届けることで、あらためて音楽の煌めきを実感する日々です。
今でもギター、バンドはゆるく継続しており近年は今更ながら歌も歌ってみたりしています。
もうすっかりおっさんになってはしまいましたが、あの頃「音楽に描いた夢の向こう側」を、今後もみなさんと追っていければと思っています。