なぜライブやフェスではカメラ撮影がNGなのか?
ライブ・コンサート会場での撮影のルール
日本では基本的に、ライブ・コンサート会場で観客が許可なく写真や動画の撮影をすることは禁止されています。
例えば、楽曲が演奏されているステージを勝手に動画で撮影した場合にまず問題になるのが、著作権の問題です。
著作権(ちょさくけん)はコピーライト(英語: copyright)とも呼ばれ、言語、音楽、絵画、建築、図形、映画、コンピュータプログラムなどの表現形式によって自らの思想・感情を創作的に表現した著作物を排他的に支配する財産的な権利である。
演奏中の楽曲がカメラの中に複製されることになり、動画サイトなどでアップされたりすると、著作権者(作詞者や作曲者)の複製権や公衆送信権を侵害になりかねないため、主催者や会場側の判断で撮影を禁止していることが多いのです。
ちなみに私的使用目的のための複製は、直接は著作権の侵害にはなりません。
美術作品の写真撮影や演奏会の録音録画は著作物や実演の複製に該当しますが、私的使用のための複製(第30条)は認められており、この規定の範囲内で行われる複製であれば著作権侵害にはなりません。
著作権の問題は、写真(静止画)の場合でもあります。
例えば、ステージに含まれる舞台制作物にも著作権が発生しているので、無断で撮影してSNSなどに公開・シェアするなどすれば、著作権侵害の対象になります。
これはライブ公演自体がはじまる前の撮影でも起こりうることです。
そしてなにより、ライブやコンサートには大勢の一般人の観客がいるため、写真や動画には肖像権の問題もつきまといます。
想定外に人が写り込んだ場合でも、人物がしっかりと特定できたり、SNSなど拡散するの可能性が高いところへ公開した場合は、肖像権侵害の対象になる可能性があります。
肖像権は他人から無断で写真を撮られたり無断で公表されたり利用されたりしないように主張できる考えであり、人格権の一部としての権利の側面と、肖像を提供することで対価を得る財産権の側面をもつ。
また、肖像を商業的に使用する権利をとくにパブリシティ権と呼ぶ。
一般人か有名人かを問わず、人は誰でも断り無く他人から写真を撮られたり、過去の写真を勝手に他人の目に晒されるなどという精神的苦痛を受けることなく平穏な日々を送ることができるという考え方は、プライバシー権と同様に保護されるべき人格的利益と考えられている。
著名人や有名人は肖像そのものに商業的価値があり財産的価値を持っている。
「すてきなライブを記録しておきたい!」という感情があるのは、よい流れだと思いますが、スマホや、TwitterやFacebookやInstagramなどのSNSが普及した現代では、法的な問題が常に潜んでいることを忘れてはいけません。
フェスの撮影は?
ライブやフェスによってさまざまですが、こちらも出演アーティストの撮影は原則禁止とされています。
近年では、会場内での自身の撮影のみなど、指定の条件を満たしていれば許可されているところも多くなってきました。
フェス会場に行く際は、これらの注意事項を理解してから参加しましょう。
会場内では、カメラ付携帯電話やコンパクトデジタルカメラ(プロ仕様撮影機器は持込禁止)などによる、お客様ご自身の撮影のみ可能となります。
ただし、これらの撮影機器や録音機器による出演アーティストの撮影及び録音は、一切禁止致します。このような行為が発覚した場合は機器を没収した上、退場していただきます。
また、その行為によっては身柄を警察に引き渡すこともございますので、予めご了承ください。
会場内にカメラ・ビデオカメラ等持ち込みは可能ですが、出演アーティストの撮影は禁止です。
又、録音機器の場内への持ち込みは一切禁止です。
セルフィースティックの使用は他のお客様の迷惑になりますので、ステージ前方・および混雑時・移動しながらの使用は禁止致します。
撮影がOKなケースもある
近年では、海外を中心にアーティストの意向などで撮影をあらかじめ許可している異例なケースも存在します。
その背景には、SNSなどを通して、アーティストの知名度の向上、コンサート収益の増加の期待があるからです。
「SNSが普及して世界のファン同士で情報が共有される時代になったのに、日本のライブは撮影禁止ばかりで動画が全く上がらないのはもったいない気がする」といった会話が増えたそうで、「このままでは俺たちを刺激して夢を与えてくれた“客撮り”が日本で存在することはないかも」という懸念から、ライブ撮影を許可することに至ったと説明。
国内ラウドシーンを牽引するcoldrain、今後のライブ撮影を自由に!「世界のファン同士で情報が共有される時代」 – 耳マン
この作品を携えてのリリースパーティはアルバム収録曲以外の新曲の演奏も予定しており、演奏の撮影や録音はフリーとなっている。
クラムボンのライブツアー「clammbon 2016 mini album 会場限定販売ツアー」とのコラボレーションが決定しました。
クラムボンの3月17日以降に行われる全10公演のライブにて、来場者はライブ中の模様の一部を「VIDEO Clipper」で撮影することができます。
観客みんながカメラマン、視聴者は好みのアングルで楽しめるライブ動画サービス「VIDEO Clipper」を提供開始
マナーはどんな状況でも問われる
ライブの撮影問題は、なにも権利の問題だけではありません。
撮影するときに、手を上げたり、フラッシュを出したり、通行の妨げになったり……撮影行為自体が、観客への迷惑に直接繫がります。
ライブ公演を楽しむ目的が、損なわれてしまっては本末転倒です。
会場にいる観客・アーティストが一緒に最大限に楽しむためにも、今後も課題がたくさんあります。
海外ではライブ撮影が認められていることも多いとご紹介しましたが、ブルーノ・マーズは自身のTwitterでかつてこのような投稿をしています。
Put your camera phones down bro!! Live in the NOW!!
— Bruno Mars (@BrunoMars) July 28, 2012
「携帯やカメラを置いて!今はライブだよ!」と今目の前でおこなわれているパフォーマンスに注目してほしいとのこと。
撮影媒体に頼る記録より頭の中に残す記憶を。
そんなライブが今求められているのかもしれません。
ライタープロフィール
スタジオラグ
中尾きんや
スタジオラグスタッフ
ウェブサイト:https://www.studiorag.com
Twitter:kin_kinya