僕がCDを全国流通させた理由とその方法
バンドが動き出してから丸8年、バンドメンバーと仲間内の5人だけでレーベルを設立し、全国流通でCDを発売しました。
なぜ今このタイミングで全国流通という手段を選んだのか。
その理由と方法を、バンドの歴史や状況も踏まえつつ書こうと思います。
インディーズバンドの内情や、全国流通の仕組みに興味がある方はぜひご覧ください。
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そもそもなぜ「全国流通」を選んだのか
全国流通をしたら、失敗と成功がたくさん舞い込んできた
実際全国流通をするにあたっていろんなことに挑戦して、たくさん失敗しています。
その度にたくさん勉強になりました。
流通会社の人と100通以上メールをすることで、得意じゃなかったビジネスメールがどんどんうまくなっていきました。
失礼なメールを送ってしまったこともありましたが、担当の方のメールを真似することによって基本的なメールの作り方を学び、慣れてきた頃には形式にこだわりすぎるよりも気持ちが大事だということがわかったりもしました。
お店へのあいさつ回りも20店舗以上行きました。
最初は緊張して伝えるべきことを伝えきれなかったんですが、徐々に緊張を楽しめるようになってきて、笑顔で相手とちゃんと会話をすることが大事だということがわかってきたりもしました。
CDジャケットや歌詞カードのデザイン、フライヤーやポスターのデザインなどをすることによって、全然使えなかったイラストレーターがめきめきと使えるようになっていきました。
そして決断することが前より得意になってきました。
リリースに向けて決めるべきことがたくさんあるので、決断の決め手となる情報を収集したり、メリットデメリットを天秤にかけたりしました。
決断することは今も怖いですが、いろんな決断をすることによって以前より少しは得意になってきたような気がしています。
何もない状態から見よう見まねで挑戦することで、失敗と気付きを繰り返して少しずつ前進してきました。
某有名フリーペーパーや北海道の某有名企業からバンドのアカウントに急にメールが来たりもして、自分の力だけでどうにかできる範囲外からのうねりを感じることもありました。
CDジャーナルから急にメールが来て、今月号に小さく載せてもらったりもしています。
世の中とつながることの可能性を感じた
少しずつですが、北海道滝川市の実家でちまちま曲を作っていただけだったcolor chordが、世の中とのつながりを広げつつあることを感じています。
そういった広がりを持つことによって、今まで届かなかった人にまでcolor chordの存在を、音楽を知ってもらうきっかけになるんじゃないかと思いました。
全国流通をすることによって、バンドと世間とのつながりを広げていき、color chordを好きになってくれるかもしれない人により多く、より広く響かせたいというのもねらいでした。
そしてそれは、まだまだこれからやっていかないといけないなと思っているところです。
全国流通をする方法
「全国流通した」と、さも簡単にできるかのように言っていますが、流れとしてはとてもシンプルです。
音源と資料を流通業者に送るだけです。
そこで審査に通れば流通はできますが、そこから最低限決めることだとか、最低限やらなきゃいけないこと*4だとかでなんだかんだ大変、ということです。
この「なんだかんだ」が結構死ぬほど大変です*5。
その覚悟さえあれば割かし全国流通自体のハードルは低いと思います。
僕は平日の仕事が終わってからリリースに関する作業(結構広義だけど)を4、5時間やって、4、5時間睡眠、休日はその分たっぷり寝るけどやっぱり4、5時間作業する、というのを100日くらいやりました。
これにはミュージックビデオ関連のこと*6とかデザイン関係、リリースツアーのこと*7とかも含まれているし、そのすべてを自分でやろうとしたちょっと特殊なケースなので、もうちょっとお金をかけて人に依頼したりすればある程度楽もできると思います。
でも僕みたいに全部背負っちゃうとマジで地獄です。
*4:質問したら全部流通業者の人が教えてくれるので何も知らなくてもダイジョウブ!
*5:最低限やらなきゃいけないのはCDを作ること(レコーディング、ミックス、マスタリングをした音源とジャケットデータと歌詞カードデータ、帯データなどを用意してCDプレス業者に発注。超大変)、商品番号や価格・発売日の設定、業者によってレンタルの有無だとかiTunesの価格を決めたり細かい決めることたくさん、キャッチコピーとか宣伝系の文章作成、店舗に事前に配るサンプルCDとその資料作成、などなど諸々。それ以外にレーベルとしての仕事がいろいろあって、フライヤーやポスターの制作はもちろん、宣伝するためにメディアに資料送りまくったり、サイト作ったりなんだかんだします。
*6:今回のアルバムは7曲入りで7曲ミュージックビデオが特典でついてくる、というものでした。そして7本すべてをレーベルのチームで制作しました。ちなみに僕はほとんどの監督と編集をやりました。
*7:2日間行われた東京公演のうち1日は自主企画だったため、会場を押さえて出演バンドにオファーをして、タイムテーブルの作成やチケット代の設定、フライヤーの制作・発注、飛行機のチケットの予約などなど、なかなか大変でした
自主レーベルだと自由です
ちなみに、地獄の対価として僕らは自由を手に入れました。
当事者以外の大人が関わっているリリースにはいろんな制限があったりすると思いますが、僕らは何の制限もなく好き勝手やっています。
大人がお金を出してくれる場合は制限がある代わりにお金をかけてレコーディングしたり、CDのパッケージを豪華にしたり、宣伝をしてくれたりするかもしれませんが、僕らはお金がない代わりに制限がないので大事なジャケットの画像をご飯にしたり、ミュージックビデオを7本撮ったり、レコーディングに1年半かけたり好き勝手できます。
これは良し悪しなのでいろいろ考え方はあると思いますけど、自由なのも辛くて楽しいです。
逆に制限された環境でやったことはないので、制限されるという経験をしたくもあります。
お金を出して僕らを制限してくれる大人の方がいたらぜひお声をかけていただきたいです(わがまま言うと思いますが話し合いましょう)。
おわりに
全国流通をしたインディーズバンドの内情というか、くすぶってる奴の葛藤を暴露しただけのような気もしますが、全国流通の意義と方法はなんとなくわかっていただけたでしょうか?
このままじゃいられない!何かを変えたい!というバンドやミュージシャンは、全国流通という方法でもがいてみたら何か変わるかもしれませんよ。
もし周りから見てあんまり変わらないように見えても、たくさん頑張れば自分が変わります。
あと、結構面白いです。
最後に、ここまで書いたから宣伝だけさせてくださいね!
気になった方はCD買ってください!
あれだったらミュージックビデオだけでも見てってくださいね!
ライタープロフィール
ミュージシャン
あおやなぎゆい
札幌を拠点に活動するミュージシャン。
2004年に結成したバンドcolor chordではVocal,Bassを担当し、世界規模で開催されたL.A.のフォーク・ロック・バンド"Dawes"のカヴァー・コンペティションにて優勝を飾る。
2016年には全国流通ミニ・アルバム『くらし』をリリースするも、9月にバンドは活動を休止。
同年10月より『青柳唯』名義でのソロ活動を開始。
翌月には1st demo『29』を発売。
主にバンド編成で活動中。
映像作家として計10作品のMVを監督・編集。
文筆家として「NAGISA」や「カメンズ」にコラムを寄稿。
ウェブサイト:http://aoyanagiyui.tumblr.com
ブログ:http://yui-aochang.hateblo.jp
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