コピーバンドとオリジナルバンドのメリット・デメリット
皆様、日頃からバンド活動に勤しまれていると思いますが、コピーバンド・オリジナルバンド、いずれをされていますでしょうか。
中には両方、という方もおられるかもしれませんね。
それぞれに、それぞれの良さや楽しみがあり、「どちらがよい」というものではありませんが、「どちらも経験されて、自分にあったスタイルを見つける」というのが、音楽を続けていく上では大事なことかもしれません。
そこで今回は、コピーバンド、オリジナルバンド、それぞれの良さや楽しさについて考え、また私の経験から、是非オリジナルバンドをやってみることをおススメさせていただければと思います。
また、今回の話は「バンド」というくくりに限定したいと思います。
ソロ・アーティストの場合は、コピーにしろオリジナルにしろ、また若干違った観点からの楽しさ・良さがあると思うからです。
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オリジナルバンドの楽しさ・良いところ
オリジナルとは何か?→自分のやりたい音楽の発見
さて、いざオリジナル曲を作ろうとなった際に必ず自分達に返ってくるのが、「自分はどういう音楽をやりたいのか?メンバーはどういう音楽をやりたいのか?バンドという集合体としてどういう音楽がやりたいのか?」ということです。
最初はやはり、真似事のようなものから始めると思いますが、段々曲の作り方にも幅が出来てくると、「ああ、こういう曲をやりたかった!」という楽曲も生まれます。
オリジナルバンドをやることは、ある意味自分探しの旅と言えるでしょう。
新しいものを作り上げるというチャレンジ性
「ワクワク、もはやゾクゾク」と書きましたが、ゼロからイチを生むことは容易なことではなく、それだけにやりがいのある挑戦でもあります。
最初はもちろん産みの苦しみを味わうでしょうし、慣れてきても「なんかどれも似通ってない?」となったりもします。
私も最初のオリジナルバンドから言うともう20年も曲を作っていることになりますが、いまだに新しい曲を書くことはチャレンジの連続です。
音楽という自由な表現において、その挑戦は絶えることなく続いていくことでしょう。
演奏に必要なテクニックが自分達である程度制御できる
コピーだと、その曲を演奏するのに必要なテクニックを身につけなければなりませんが、オリジナルだとその辺りが自分達で設定できます。
例えば、ニルヴァーナの曲を演奏するのに、ポール・ギルバートのギターテクやチャド・スミスのドラミングは必要ないですよね(笑)?
それは極端な例かも知れませんが、基本的には自分達の演奏できる範囲内で曲を作る・フレーズを決めることになります。
もちろん、基礎的な演奏力を伸ばし続ける努力は必要ですが、「技術がないからオリジナルをしてはいけない」というものではありません。
作曲やアレンジの経験をコピー曲にもフィードバック
オリジナルバンドをやられている方でも、他方ではスタンダード曲の演奏をされている方などもおられます。
「名曲」と呼ばれる楽曲は、やはり時代を超えて歌い継がれる・演奏され続けるものですし、そういうものを求められるリスナーの方もおられます。
私も何度かそういう演奏の機会がありましたが、やはり自分なりの色をつけたいなと思うもの。
そういう時に、作曲やアレンジの経験が活かされ、その演奏メンバーでのコピー曲はもはやカバー曲と言って過言ではなかったと思います。
曲を作っていく上で出会う新しい自分
そして私が最大限主張したいのがこの点です。
継続して曲を作っていくと、「こういう曲を作ろう」と思って作る場合もありますが、時として「自分の中にそんなルーツなどあっただろうか?」というような、思いもしない楽曲が沸き上がってくることがあります。
「自分の中からそういうものが出てくる」ということが、今まで認識していなかった自分との遭遇であり、とても新鮮な驚きを覚えます。
人間の脳には、無意識の領域が意識の領域よりはるかに多いらしく、その無意識の領域に触れたかのような不思議な体験で、自分にはまだまだ可能性が秘められてるのでは?などど思ってしまいます(笑)。
これは、私がオリジナルバンドを続けていて発見した、一番大きいベネフィットだと感じています。
オリジナルバンドのデメリット
オリジナルバンドには魅力も満載ですが、残念ながらコピーバンドよりデメリットも多くあります。
どうやってオリジナル曲を作ったらいいか分らない
まずもって曲の作り方で最初は戸惑ってしまうと思います。
これはもう、「◯◯に似てる」とか「なんかイマイチ。。」そう評価されるのを恐れず、やってみるしかないと思います。
最初から名曲が書けるなんて無茶だと思いますので、数を重ねて経験を積みましょう。
メンバー間で喧嘩になりやすい
メンバー間の絆が強いと書きましたが、それが故によく喧嘩もします。
「よりいいものにしたい」思いも強いですし、場合によってはバンドでデビューの夢を追っている方もおられます。
やはり本気な分、妥協はできないので、時として激しくぶつかり合ってしまうことも避けられないことでしょう。
お客さんにも共感してもらえる曲が作れるか・演奏ができるか
音源制作のみを活動とされているオリジナルバンドさんもごく稀におられますが、多くのバンドさんはやはりライブでお客さんに聴いてもらうことが活動の中心でしょう。
どんなオリジナル曲を作るかは自由ですが、お客さんにまったく共感してもらえない楽曲だと集客も出来ませんし、ライブハウスのブッカーさんも次の話はしにくいでしょう。
そのあたりの芸術性と大衆性的な話は難しい問題ですのでまた回を改めたいと思いますが、少なくとも楽曲の評価は他者によってされるものでしょう。
また、「曲はいいのに、演奏がなぁ。。」というのも残念な話ですので、曲の魅力を伝えられる演奏力は身に付けたいところです。
バンドを継続していくことが出来るか
これがオリジナルバンドにおいて一番厄介な問題ではないでしょうか。
コピーバンドには「終わりが見えている」と書きましたが、オリジナルバンドは明確な「終わり」が不明瞭だからです。
例えば、「武道館でワンマンライブできたら解散しよう。
それを目標に頑張ろう!」といったバンドさんなら潔いですが、多くの方は続けていくうちにその魅力にハマり、「頑張ればもしかしたらバンドでデビューできるかも?」そんな夢を抱いて続けられている方も多いと思います。
その夢がいつ実現するのか、本人の努力はもちろん必要ですし、時代性や運にも左右される要素です。
しかし、人は確実に毎年歳を重ね、結婚や出産もするでしょうし、そうなるとそれなりの経済力も必要となります。
イコール、バンドに割ける時間も減ってしまいますし、ますますチャンスを掴みづらくなります。
私は完全に趣味と割り切っているのでこの点で悩むことはありませんが、夢を追って活動を続けるバンドマンの方には深刻な問題かと思います。
ただ現在は、メジャーデビューだけが単一の価値観ではなく、様々な活動の仕方で継続されているオリジナルバンドさんもおられますので、目標設定や工夫次第で乗り越えられる気もします。
なぜオリジナルバンドをおススメするか
最後に、以上踏まえた上でオリジナルバンドは1度は経験されることをおススメします。
理由としては、
- コピーはしてるがオリジナルはやっていない方は、両方のスタイルそれぞれに固有のメリットがあるので、どちらも経験する方が音楽活動の上で有利。
- 自分の経験として、オリジナルバンドをすることで、「作りあげていく喜び」「仲間」「知らなかった自分を認識できた」等豊かな体験が得られた。
からです。
また繰り返しますが、コピーもオリジナルも「どちらがいい」という優劣のつけられるものではないと考えています。
どちらも、相互補完する要素を持っていますので、どちらも経験されるのがやはりよいと思います♪
ライタープロフィール
ライブスポットラグ
平田 浩康
Live Spot RAGの平田浩康です。
15歳の時、音楽特にロックのカッコ良さに痺れギターとバンドを始めました。
生まれ故郷の高知県は、ライブハウスやコンサート会場も少なく生の音楽に触れる機会が少ない、当時は情報源も雑誌やCD、VHSビデオ(!?)という時代でしたが、音楽というとてもキラキラしたものに魅了され、勉強そっちのけでギターと音楽を楽しむ毎日でした。
大学進学から京都に移住し、大学では軽音楽部を卒業(笑)。
それまでは邦楽ロックや洋楽ハードロックを中心に聴いていましたが、先輩や同期から世の中にはもっとたくさんの音楽があることを知らされ、今では「いいな」と思えるものはジャンル隔てなく聴いております。
大学卒業後にRAGに入社、約6年のオフィスや約10年の音楽スタジオを経て、現在は創業39年の老舗Live Spot RAGにて勤務、主にプロモーション業務を担当しております。
日本トップミュージシャン達が奏でる「本物の音楽」に触れ、お客様に届けることで、あらためて音楽の煌めきを実感する日々です。
今でもギター、バンドはゆるく継続しており近年は今更ながら歌も歌ってみたりしています。
もうすっかりおっさんになってはしまいましたが、あの頃「音楽に描いた夢の向こう側」を、今後もみなさんと追っていければと思っています。